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バレーボール

インタビュー01 「専門家インタビュー」

科学がゲームを進化させる。

表面の環状突起がボールのブレを抑える

フリスタテックの最大の特徴は、表面にある環状の突起。これがボールに触れる空気の流れを変え、ボールの動きに影響を与えます。
実際のプレーに及ぼす最大の影響は、ボールコントロールがしやすくなるという点。環状突起があることにより、ボールのブレ、不安定性が抑えられることが実験の結果分かりました。このことは、これまで弾道の予測が難しかった無回転状態のボール(無回転サーブなど)で、特に効果を発揮します。
ところで、なぜ突起があるとボールのブレが抑えられるのでしょうか。そもそも、空気中をボールが飛んでいるときに何が起こっているのかというと、ボールが空気中をすばやく移動するときには、ゆっくり移動するときには生じない空気の渦がボールの後ろにできます。この渦が乱れをもたらし、ボールの動きを不安定にしています。この渦ですが、空気がボールの表面をどのように流れるのかによって、形や大きさが変化します。ボールの表面に突起があると、表面を流れる空気はわずかに乱れますが、その小さな乱れが、後ろに発生する大きな乱れ、すなわち渦を抑制する働きがあることがわかりました。
こうしたことは、固定したボールに風を当て、ボールの周りを流れる空気の動きを調べる一般的な風洞実験に加えて、マシーンを使って無回転ボールを打ち、その落下点のバラつきを従来品と比較した飛行安定性実験でも、明らかなデータが得られています。

旧ボールとの比較実験を見る

浅井 武 准教授
筑波大学大学院 人間総合科学研究科・博士(工学)
1981年、筑波大学体育研究科修士課程(コーチ学専攻)を終了。
1992~1993年ケルン体育大学に出張し、山形大学教育学部助教授を経て現職。
主な研究分野はスポーツ用ボールやシューズなど用具およびスポーツ技術の工学的研究、スポーツバイオニクスなど。

遅い速度でも、スムーズな動きが可能に

プレーに及ぼす影響として二番目に挙げられるのは、トスやレシーブといった速度の遅いボールでも、動きがスムーズになるという点。
先ほど、ボール表面を流れる空気の動きには、ボールの移動速度によって違いがあることを説明しました。それは一定の速度を境に変化しています。遅いときには、速度に比例して空気抵抗は増大しますが、ある一定の速度に達したとき、急激に空気抵抗が減少する性質があります。ところが、ボールの表面に突起を付けることで、より遅い速度でも、空気抵抗が急激に減少する境界速度に達することがわかっています。ゴルフボールに小さなくぼみがたくさんついているのも、この性質を利用してより遠くに飛ぶよう工夫されているのです。このことを利用すれば、遅いスピードのボールでも空気抵抗が軽減されることになります。

モルテンの技術の高さ、情熱が火をつけた

そもそも、こうした共同開発を株式会社モルテンと行うことになった背景には、同社の技術の高さと信頼がありました。同社の研究所を見学した際に、ボールの耐久試験を行う機械がボールをスパイクしていました。中でも私が注目したのは、機械に取り付けられた針金。手作業で作られた微妙なカーブを描くその針金が、ボールをランダムに回転させ、様々な角度の強度試験を可能にしていました。そのわずかな工夫に同社の情熱を見たのです。
そういった経緯もあり、こちらもいい加減な気持ちではできないと、流体の専門である山形大学の瀬尾先生、防衛大学の伊藤先生に声をかけ、3人のチームとして取り組みました。研究が進んでいくうちに、次第に解明が進んでいない、「速い速度での無回転ボール」に焦点が定まりました。サッカーではフリーキックの際に、ボールがキーパーの近くでぶれる現象があります。一流選手は経験知で行っているわけですが、その振る舞いは科学的に説明できていません。だからこそ、そこを突き詰めて調べれば、ブレを抑えるボール開発ができるのではないかという発想が生まれました。その点で、今回の製品は科学的アプローチの第一歩であり、より質の高いバレーボールプレーに貢献できるものだと確信しています。しかし、この分野にはまだ解明されていない点も多く、さらに大きな可能性が広がっていると感じています。

インタビュー02「開発者インタビュー」

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