医療・福祉機器を通じて
生活の幸福を提供
医療・福祉分野の現場で使用される床ずれ防止用の高機能エアマットレスやポジショニングクッション、口腔ケア製品、在宅向けの介護ベッドなどを扱うメディカルケア開発部。さらに、生活動作を支える手すりやクルマイス、歩行車などをシームレスムーブ開発部で取り組んでいる。特徴的なのは、人が生活する上で欠かせない“眠る、食べる、動く、出す”といった一連の動作を一貫して支援するための製品を開発している点だ。医療・介護・生活参加・健康を必要とされる人たちへ、人生の最後まで豊かな気持ちで「生活の幸福」を得てもらいたい。「From the Inside Out(内から外へと広がる豊かな人生と、健康で安心して暮らせる社会のために)」の理念のもと、生体工学分野の研究から生み出すアカデミックな理論を背景に、“the Medical Lab”から新たな研究・開発テーマと検証に邁進していく。
“the Medical Lab”自体が測定器
“the Medical Lab”には人の動作解析ができる装置モーションキャプチャと、足の角度によってどれくらいの力がかかっているかを数値化できるよう床に反力計であるフォースプレートを常設。さらにベッドマットレスの上で傾いた際に体にかかる圧が測定できる体圧分布測定器も完備。部屋自体が測定器と言える。
人間工学の視点で、
介護する側、される側の
最適な基準をつくる
さまざまな設備により、身長、体重、姿勢、障がいといった身体状況をアセスメントし、製品の機能性はもちろん人が感じる寝心地、座り心地、触り心地などを学術的に根拠ある数値として評価することができる。介護する側、される側の両方にとって負担の少ない基準を製品要求仕様にフィードバックすることができ、使用者に最適なフィッティングの基準づくりを叶えることができるようになる。その人に1番合ったモノを提供できるため、まるでオーダーメイドのような感覚。
機能性と意匠(Lab)の
空気感を演出
研究室としての機能を満足させるために、仕上げ素材に配慮。またモーションキャプチャのカメラの位置を変更しやすいよう、通常は天井下地で仕上げをすると隠れるLGSをあえてむき出しに。壁面や床の反射率も抑えている。清潔感のある凜としたラボスペースを目指した。
interview
人間工学に
基づいた最適な
フィッティングを
三村 真季
the Medical Lab/
医療・福祉機器事業
健康用品事業本部の製品開発統括部 メディカルケア開発部に所属。これまでに、医療・福祉分野の現場で使用される床ずれケアの高機能エアマットレスなどの機器の開発に携わってきた。“the Medical Lab”ができたことで、医療・福祉機器の開発に新たな可能性が生まれるという。「メディカルラボができたことで、医療・福祉の分野を人間工学の視点で探究することが可能になりました。人の動き、人にかかる力を数値化することによって、その人により最適なサイズをフィッティングすることができます」。設備についても「これまでは、モーションキャプチャのカメラを設置するまでに時間がかかっていました。しかし、メディカルラボは部屋自体に設置してあるので、すぐに測定できるメリットがあります」と語る。
「ミッションステートメント“From the Inside Out”に込められた“内から外へと広がる豊かな人生”とは、自分の部屋からリビングへ、家の中から外へ、そして心理的な部分も含まれます。活動範囲や気持ちをクローズせず、オープンな気持ちで過ごせる製品を“the Medical Lab”から開発していきたいですね」。